【教育コラム】板野地域の中学生にとって「地域に根ざした対策」が必要な理由
今回は「地域による高校受験の不利・有利」について、特に徳島県板野町周辺に住む中学生の進学事情に焦点を当てて考えてみたいと思います。
板野中学校の現状:チーム担任制と外注テスト
板野中学校では現在、チーム担任制が導入されており、校内テストも外部業者の問題を利用しています。こうした仕組みは、先生方の負担軽減という面では効果的ですが、生徒一人ひとりに合わせた細やかな指導が届きにくいという側面もあります。
また、近年「学力が下がってきているのでは」と感じる保護者の声も増えてきています。これは板野町に限った話ではなく、コロナ禍の影響も大きく関係しています。
コロナとリモート学習の影響
コロナによる休校やリモート授業を経験した世代は、先生も生徒も準備が不十分なまま学習に取り組まざるを得ませんでした。
とくに中学校の数学のように、小学校の内容を基盤にして進む教科では、基礎が十分に身についていないまま進んでしまっている生徒も多く見られます。
そのため、学習サポートに入る前に、小学校範囲の理解度を確認することが重要だと感じます。
外注テストは一般的? それでも課題は残る
外部業者によるテストの使用は、徳島県に限らず全国の多くの公立中学校で一般化しています。旺文社などが提供しているテスト作成サイトを利用し、複数の中学校で同じ問題が出題されているケースもあります。
これは教員の業務負担軽減のためには仕方のない流れとも言えますが、逆に言えば、テスト内容が生徒の実情に合っていない可能性も否定できません。学校独自で問題を作成しているのは、ラサールや開成といったトップ校など、ごく一部に限られます。
板野地域の立地的不利と学区の問題
板野町や鳴門市は、第2学区に属しています。一方、徳島北高校や城南高校のある第3学区に進学するには、全体の12%という厳しい学区外枠での合格が必要です。
しかも、藍住町や北島町、松茂町といった地域では、実際には徳島北高校のほうが地理的に近いにも関わらず、学区の壁により不利な状況に置かれています。学区の見直しは毎年議論されていますが、変更が実施されるまでには2年程度かかるため、現在の中学生には影響しません。
地域に根ざした対策の重要性
以上のように、板野地域の中学生は、学力面でも進学制度面でも厳しい状況にあるといえます。だからこそ、地域特有の事情に即した学習支援が必要です。
たとえば、
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小学校内容まで遡った基礎確認
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学区制度を考慮した進路指導
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家庭学習のサポート体制の強化
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放課後支援の活用
ただし、どれだけ体制を整えても、生徒自身の意欲や目標がなければ成果にはつながりません。やる気を引き出し、勉強を「自分のこと」として捉えられるように導くことが、最も重要な鍵だと考えます。
おわりに
板野地域の中学生・保護者の皆様にとって、「地域に根ざした受験対策」と「一人ひとりに合わせたサポート体制」は、これからさらに重要性を増していくはずです。
学力を伸ばすのは、本人の努力と環境の両方です。地域の特性を理解した上で、必要な対策を一緒に考えていきましょう。